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Sony FE50mmF1.8 (SEL50F18F) と FE55mmF1.8 (SEL55F18Z)に関する雑感

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先日、海外で正式発表されたFE50mmF1.8の光学系に関する雑感をつらつらと。ついでに、基本スペック(焦点距離・F値)が似通っているFE55mmF1.8についても改めて調べてみた。

目次

ニュースソース

digicame-info.com

50mmF1.8 光学系

レンズ構成

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US公式サイトに製品ページができているので、それを引用。

後玉からフランジ面まで距離が空いていることを思うと、不必要にコストをかけないようにAマウント用の光学系をそのままベースにした印象を受けます。ミノルタのf=50mm F1.7をベースにヌケ(逆光耐性など)や解像力が高くなるように、最小限の変更に抑えつつアレンジした感じに思えます。後玉の非球面レンズが設計の要でしょうか。

レンズ構成を見る限り、少ない枚数で、より良い性能・より安定した品質(量産のし易さ)を実現している雰囲気ですね。どこか、PENTAXのDA50mmF1.8と似た設計思想を感じます。

blog.lovepenta.xyz

作例

作例は、デジカメinfoの記事元(dpreviewの記事)や公式サイトに上がっています。後ろボケが若干ザワつく雰囲気ですが、前ボケはスムーズで、近年の廉価レンズらしい高性能さを備えていそうです。

MTF曲線

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開放での特性(緑色のライン)を見た感じ、開放から中央は良好、周辺部はやや甘い感じでしょうか。

F8での特性(オレンジのライン)を見ると、絞れば全域でシャープな雰囲気です。

雑感

レンズシミュレータ頼みの最適化ではなく、光学をよくわかっている方が設計されたアトモスフィアが感じられます。レンズの生産管理まで担当されたことのある方が手がけられたのでしょうか。はっ。まさか設計者は元PENTAXの加藤氏?

いずれにせよ尊いレンズですね、これは。

55mmF1.8 光学系

レンズ構成

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50mmF1.8のレンズ構成図と比較してみるとよくわかるのですが、こちらはEマウントのショートフランジバックを最大限に活かした設計となっています。レンズ設計にかけた気合の高さが感じられるところ。

非球面レンズ 3枚(うち2枚が両面非球面)が豪勢に振る舞われているため、一見、高級硝材のパワーでゴリ押しした昨今よくあるハイパフォーマンスなレンズかと思いきや、SDレンズやEDレンズなどの高屈折率の硝材は未使用の模様。高屈折率の硝材なしに、このレンズ枚数というのは、ハイレベルな設計センスが感じられます。

さらに、通常の硝材のみから構成することで生産管理の難易度をむやみに上げていないことに加え、前玉を凹レンズとすることで鏡筒内での迷光を抑えていることなど、匠の技が光る逸品、という感じです。

作例

有名サイトでの作例に非の打ちようがないのはもちろんのこと、PHOTOHITOのような一般人の投稿サイトでの作例を眺めてみても、かなり良質の描写をすることが見てとれます。

全方位的にイイ。

photohito.com

MTF曲線

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※ 50mmF1.8とはグラフの記載条件が異なっていることに注意

開放での特性を見た感じ、中央~周辺部にかけて、並外れた高解像度が要求される場合(40line pairs/mm)ですら、極めてなだらかに描写性能が下がる雰囲気です。これの特性曲線だけでもご飯が3杯はいけますね。

F8での特性を見ると、40line pairs/mmですら、周辺部は良好、中央部は極限までシャープな雰囲気です。この性能はヤバイ。フルサイズ3600万画素程度のボディであればオーバークオリティ過ぎる性能ではないでしょうか。

とんでもないモンスターレンズという趣です。

雑感

ZEISSの銘を背負っているだけあって、スペックシート上の性能だけでなく、実写での性能も折り紙付きといった感じです。

50mmF1.8との違いに気づけるなら、迷わず55mmF1.8ですね。